国際バカロレアって何?海外進学・大学受験に役立つ?資格取得方法や認定校・難易度などを徹底解説!
国際バカロレア、ディプロマ・プログラム、IB入試・・・高校留学や海外進学、グローバル教育に興味のある人なら一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
ここでは「国際バカロレア」「ディプロマ・プログラム」について詳しく解説します!高校留学や海外進学を目指す高校生にもぜひ知っておいて欲しい知識なので、しっかりチェックしてくださいね。
目次
国際バカロレアは世界共通の国際教育プログラム
国際バカロレア(通称IB:International Baccalaureate)とは、国際バカロレア機構が提供する “世界共通の国際教育プログラム” のこと。
国際バカロレア機構では、国際的な視点を持って世界的な課題に対処できる生徒の育成を目指し、世界共通の教育カリキュラムの作成や試験の実施、国際バカロレア資格の付与などを行なっています。
もともとは世界各国に派遣される外交官や国際機関職員などの家庭の子どもたちが、派遣国のインターナショナルスクールを卒業したあと、母国の大学に進学するための入学資格を付与するために開発されたもの。
1968年にスイスのジュネーブで発足して以来、欧米諸国を中心に広まり、現在「国際バカロレア」を実施している学校は世界140以上の国や地域で5100校以上!その質の高さが評価され、日本でも「国際バカロレア」の教育プログラムを導入する学校が増えてきています。
国際バカロレア “ディプロマ・プログラム” に注目
国際バカロレアでは3歳〜19歳までを4つの教育課程に分けています。高校生が対象となる課程は、表の上から3つ目「Diploma Programme/ディプロマ・プログラム」になります。
PYP (Primary Years Programme) |
[対象は3〜12歳] 精神と身体の両方を発達させることを重視したプログラム。どのような言語でも提供可能。 |
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MYP (Middle Years Programme) |
[対象は11〜16歳] これまでの学習と社会のつながりを学ばせるプログラム。どのような言語でも提供可能。 |
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DP (Diploma Programme) |
[対象は16〜19歳] IBカリキュラムを2年間履修し、最終試験で所定の成績を収めると『国際バカロレア資格(国際的に認められる大学入学資格)*』を取得可能。原則として英語・フランス語・スペイン語で実施。 |
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IBCP (Career-related Programme) |
[対象は16〜19歳] 生涯のキャリア形成に役立つスキル習得を重視したキャリア教育・職業教育に関連したプログラム。 |
国際バカロレア資格は世界で通用する大学入試資格
16〜19歳の間にディプロマ・プログラム課程を2年間履修し、最終試験で所定の成績を収めると『国際バカロレア資格』が授与されます。
この「国際バカロレア資格」は、世界共通の “大学入試資格” として、世界各国の大学で広く受け入れられています。いわば世界中の大学に進学するためのパスポートのようなものだと言えます。
国際バカロレア資格で “日本の大学” に進学する
日本でも数多くの大学で「国際バカロレア」の資格や成績を活用した入試(国際バカロレア入試制度)を実施*しています。各大学が定める所定の条件を満たせば、国際バカロレア入試制度を使って大学入試を受験することができます。
また国際バカロレア資格は、日本の高校卒業資格(日本の大学を受験可能な資格)としても認められているので、通常の一般入試やAO入試、推薦入試などでももちろん大学受験が可能です。
*国際バカロレア入試制度を実施している大学(一部抜粋)
北海道大学・東北大学・筑波大学・御茶ノ水女子大学・東京大学・東京医科歯科大学・東京外国語大学・東京藝術大学・首都大学東京・青山学院大学・学習院大学・慶應義塾大学・国際基督教大学・玉川大学・中央大学・法政大学・立教大学・東京都市大学・芝浦工業大学・横浜市立大学・名古屋大学・京都大学・立命館大学・大阪大学・広島大学・立命館アジア太平洋大学 など
引用元:文部科学省 国際バカロレア教育推進コンソーシアム
国際バカロレア資格で “海外の大学” に進学する
海外の大学入試に必要な資格は大学によって異なりますが、世界の多くの大学で入学者選抜に「国際バカロレア」のスコアが活用されています(▶︎海外大学進学情報一覧/引用元:文部科学省 国際バカロレア教育推進コンソーシアム)
アメリカのアイビー・リーグ*やイギリスのオックスフォード、ケンブリッジなど世界の名門大学で国際バカロレア資格の取得者が高く評価されていることもあり、ディプロマ・プログラムはいま世界中の教育機関から注目されています。今後も、国際バカロレア資格を大学入試に活用する大学がさらに拡大していくことが期待されています。
*アイビー・リーグとは:アメリカにある8つの名門私立大学の総称。ブラウン大学、コロンビア大学、コーネル大学、ダートマス大学、ハーバード大学、ペンシルベニア大学、プリンストン大学、イェール大学。
国際バカロレア “ディプロマ・プログラム” を受講する方法
国際バカロレアのディプロマ・プログラムは、国際バカロレア機構が認定した世界各国の後期中等教育学校(日本でいう高校)やインターナショナルスクールで受講することができます。
– 日本の国際バカロレア認定校で受講する
日本にも認定校は数多くあり、おもに「1条校」と「インターナショナルスクール」の2つに分けられます。
「1条校」とは学校教育法第1条で規定されている学校のこと(下表の*印の学校)。
1条校では、日本の学校教育法等関係法令と国際バカロレア機構の定める教育課程の双方を満たすことが必要とされます。国際バカロレア資格の取得には2年間のディプロマ・プログラム履修が必要なので、認定校の高校では「高校1年次に学校教育法による必履修科目の大半を履修」「高校2〜3年次に国際バカロレアのディプロマ・プログラムを履修」といったカリキュラムが組まれています。
また「インターナショナルスクール」とは学校教育法に定められていない教育施設のこと。
日本在住の外国籍の子どもが教育を受ける場として設立されましたが、現在では帰国子女など日本国籍の子どもも多く在籍しています。
※日本語DP校とは
ディプロマ・プログラムは原則として英語(またはフランス語・スペイン語)で実施されますが、最近「日本語DP」と呼ばれるカリキュラムが新たに認定され、一部の科目を除き、日本語でもディプロマ課程を履修できるようになっています(下表「日本語DP実施校」)。
▼日本国内の国際バカロレア認定校
– 海外の国際バカロレア認定校に留学する
国際バカロレアのディプロマ・プログラムを採用する海外の高校は公立・私立を問わず数多くあり、年々学校数も増えてきています。
高校によっては、ディプロマ・プログラムの受講を学校内の成績上位者のみに限定している学校もあります。在学生全員がディプロマ課程を履修する学校では、最低でも1〜2年前までに入学して準備を始めなければならなかったり、入学条件に一定の学力や英語力が求められたりする場合もあります。
ディプロマ課程のカリキュラム内容は日本のバカロレア認定校と同じですが、海外の高校の場合は全科目を英語で学ぶことになります。授業はもちろん課題や論文、試験も全て英語なので、当然高い英語力が求められます。
国際バカロレア “ディプロマ・プログラム” のカリキュラム内容
国際バカロレアが目指すのは「国際的な視点で世界に貢献できる探究心や知識に富んだ若者の育成」です。具体的には理想の学習者像として以下の10を挙げています。
▼国際バカロレアが目指す10の学習者像
- 探究する人
- 知識のある人
- 考える人
- コミュニケーションができる人
- 信念をもつ人
- 心を開く人
- 思いやりのある人
- 挑戦する人
- バランスのとれた人
- 振り返りができる人
特徴的なのは、国際バカロレア教育では「探究心」「思考力」「行動力」の育成に重きを置いているという点です。日本のいわゆる「知識詰め込み型教育」とは大きく異なり、国際バカロレアでは「物事を深く考え自ら行動できる人」を育てます。ディプロマ・プログラムのカリキュラムもその方針に沿った内容になっています。
ディプロマ・プログラムは「6つの教科」と「3つのコア科目」で構成
ディプロマ課程のカリキュラムは、6つの教科(6つのグループから選択)と3つのコア科目で構成されています。
ディプロマ・プログラムは、原則として英語(またはフランス・スペイン語)で履修する必要がありますが、日本の国際バカロレア認定校のうち「日本語DP実施校」では一部の科目を日本語で履修できるようになっています(下表赤字の科目と3つのコア科目は日本語での履修が可能)。ただし日本語DPでも選択6科目中2科目(通常はグループ2の外国語+1科目)はかならず英語で履修しなければなりません。
◆6つの教科(グループから選択)
「言語と文学」「言語習得」「個人と社会」「理科」「数学」「芸術」の6つのグループからそれぞれ1つずつ教科を選択し、計6科目を2年間かけて学習します。
グループ1 |
言語と文学(母国語) |
科目名:言語A:文学、言語A:言語と文学、文学と演劇(※) |
グループ2 |
言語習得(外国語) |
科目名:言語B、初級語学 |
グループ3 |
個人と社会 |
科目名:ビジネス、経済、地理、グローバル政治、歴史、心理学、環境システム社会(※)、情報テクノロジーとグローバル社会、哲学、社会・文化人類学、世界の宗教 |
グループ4 |
理科 |
科目名:生物、化学、物理、デザインテクノロジー、環境システムと社会(*)、コンピュータ科学、スポーツ・運動・健康科学 |
グループ5 |
数学 |
科目名:数学スタディーズ、数学SL、数学HL、数学FHL |
グループ6 |
芸術(*) |
科目名:音楽、美術、ダンス、フィルム、文学と演劇(*) |
*「文学と演劇」はグループ1と6、「環境システムと社会」はグループ3と4の横断科目。グループ6の「芸術」は他グループの科目に代替も可能。
◆3つのコア科目
選択制の6教科に加え、必修のコア科目として下記の3つを履修します。このコア3科目こそが「探究心」「思考力」「行動力」の育成に重きを置く国際バカロレア教育ならではの大きな特徴で、一般的な日本の高校ではなかなか見られない独特のカリキュラムになっています。*日本語DP実施校ではコア3科目も日本語での受講が可能です。
1. 課題論文 EE:Extended Essay |
履修科目に関連した研究分野について個人研究に取り組み、研究成果を4,000語(日本語の場合は8,000字)の論文にまとめる。 |
2. 知の理論 TOK:Theory of Knowledge |
「知識の本質」について考え、「知識に関する主張」を分析し、知識の構築に関する問いを探求する。批判的思考を培い、生徒が自分なりのものの見方や、他人との違いを自覚できるよう促す。最低100時間の学習。 |
3. 創造性・活動・奉仕 CAS:Creativity/Action/Service |
創造的思考を伴う芸術などの活動、身体的活動、無報酬での自発的な交流活動といった体験的な学習に取り組む。 |
国際バカロレア資格を取得するのに必要な成績スコア
ディプロマ・プログラムの成績は、6科目42点(各科目7点)とコア科目3点(EEとTOKの2科目のみ・CASは評価対象外)の計45点で採点されます。
国際バカロレア資格を取得するには、ディプロマ・プログラム課程のカリキュラムを全て履修し、最終成績が45点満点中24点以上を取得しなければなりません。なお6科目で24点以上を取れたとしても必修のコア3科目を落としてしまうと資格は取得できません。
国際バカロレアの資格取得率は毎年8割ほどで、平均スコアは30点前後。大学入試に必要なスコアは各大学によって異なりますが、当然スコアが高ければ高いほど入試に有利になります。40点以上のハイスコアが取れれば、オックスフォードやケンブリッジなど世界の超難関大の入学者選抜にも挑戦可能です。
国際バカロレアは高校留学の1つの有力な選択肢!
海外の高校で国際バカロレアに挑戦するのは、高校留学のなかでも非常にチャレンジングな選択です。英語が母国語ではない人にとって非常にハードなカリキュラムになりますが、海外の大学進学を目指す人にとって「国際バカロレア校への留学」は一つの有力な選択肢になるでしょう。
また国際バカロレア資格は、海外の大学進学だけでなく日本の大学入試でも有利に使えるオールマイティな資格です。高校留学の1つの選択肢としてぜひ検討してみてくださいね。
情報引用元:InternationalBaccalaureate®(IB)・文部科学省IB教育推進コンソーシアム